〔075〕空木岳 (2,864m)

標高差:1,499m

2004年06月04日(当時55歳)


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長野県駒ヶ根市赤穂
林道終点の広い駐車場にて車中泊、我が車1台のみ。
登山口の標識、既に標高1,365m、空木岳までの時間は書かれていない。
深田久弥著の「日本百名山」から
  中央アルプスの北半分に主峰、駒ヶ岳があって(略)その南半分の最高が空木岳である。登山者というロマンティストは美しい山の名に惹かれる。心の中に、まだ訪れたことない、しかしその美しい名前だけは深く刻み込まれている、幾つかの山を持っているものだ。
前日の移動
  週末の天気がやけに良さそうなので急遽、会社を休んで山歩きに行くことにする。
中央道を駒ヶ根ICで降りて林道入口を探すが見付からず、別荘地をウロウロしてしまう。ネットの
書き込みの ”古城公園に向え”を思い出し林道を見付ける事が出来た。 12時10分に林道終点の
駐車場に着く。 平日のせいか1台も車は来ていない。 空には雲一つ無い、さて明日の天気はどうな
るか? チュウハイを呑んで寝る。
空木岳への登山口は駒ヶ池近くと三本木地蔵にあったが、
古城公園への林道を登り詰めた駐車場で車中泊とする。
自分の体力で日帰り登山が出来るのか不安があったので時間に余裕を持たすため、5時10分に登り始める。
池山周辺は遊歩道になっており歩き易い巾の広い道から始まる、オレンジ色のツツジが満開になっている。
33分で鷹打場に着くが雑木林と笹原があるだけで謂れが判らない。50分で旧池山小屋、水場への分岐となるが、100mも沢へ下りる必要があるので通り過ぎる。

出だしは歩き易い遊歩道から始まる。
所々にツツジが満開となっていた。

33分で ”鷹打場”に出る。 笹原があるだけで何も無かった。
間欠泉の様に水が断続的出る変わった水場。
右へ進めば池山、左は遊歩道、直進が山頂への登山道。
大地獄”、”小地獄”の入口と出口にコーション看板があった。
一人では特に気を付けないと・・・
1時間06分で池山小屋、水場に着く。 ここの水は間欠泉の様に出たり止まったりしていてにぎやかに
音を立てている。 飲んでみると結構うまい。 水場からは登山道らしい道となり勾配もきつくなってくる。
初めて見えた景観は ”千畳敷カール”と”宝剣岳”だった。
”地獄”に入ると鉄組み、木組みの梯子がドンドン出てくる。
  1時間37分で ”尻無”(1,970m)に着く。
これが ”マセナギの頭”と言われるところか。 ”尻無”から
下りとなり鞍部を過ぎると急登となる。 登り切ると特徴ある
”宝剣岳の”展望が開けた。 ”ヤセ尾根、転落滑落注意”の
大きな看板を過ぎると階段、鎖場が多くなり、これが ”大地獄”、”小地獄”かと思うが何も書いていないので判らない。
スリル満点の道が続き、滑落すると助からない感じがするが
雪の無いこの季節は心配なさそうだった。
頼りない橋の下は絶壁。
次々に現れる金属製の階段、鎖場は少なかった。
底の抜けそうな橋、ここも絶壁に掛かっている。
3時間40分で”分岐”に着く。 避難小屋側に進む。
分岐点から見た”檜尾岳”、”熊沢岳”の縦走尾根、絶景である。
地獄を過ぎると穏やかな尾根道が続く。 気温は11℃と低いが夏の日差しなので日焼け止めをたっぷりと塗る。
3時間40分で ”避難小屋”への分岐点となる。 ”避難小屋”を見たくて沢への道を選ぶがこれが大誤算となる。
分岐点付近から初めて見えた ”空木岳”の山頂。
振り返り ”駒ヶ根市街”側を見ると、南アルプスの山並みが見えていた。
特徴のある山が見付からず、同定は出来なかった。
避難小屋へは緩やかな下りが続き、帰りの登り返しを考えると正解かと思いつつ、4時間を要して空木岳避難小屋に着く。周辺は沢に囲まれ、沢水は冷たく綺麗、高山植物の保護区になっており7月に入れば花で
一杯になるとなる感じ。 避難小屋の中は新築の住宅の様に綺麗で、これなら泊まってみたい感じがする。
分岐点から下って、4時間で ”空木岳避難小屋”に着く。
廻りはお花畑保護区になっていたが、今の時期、
お花は何も咲いていなかった。
避難小屋の内部は綺麗に掃除されており、これなら泊まっ
てみたい衝動にかられる。 常設の布団、毛布は無かった。
避難小屋の両側には目茶苦茶綺麗な沢水が流れている。
登山道の残雪は大したことはないと思い
アイゼンも付けずに登り始めたが・・・
登山道を進むと残雪が多くなってきた。 大したことは無いだろうと進んでいるとハイマツ帯以外は
深い残雪となり、勾配もドンドンきつくなってくる。 軽アイゼンを付けるが歯が立たない勾配と
なってきたので、尾根道に逃げようとハイマツ帯の薮扱きを試みるが、見た目以上に前に進まない
ことが判り、諦めて残雪に戻り滑落に注意しながらゆっくりと登る。
アイゼンを付けても雪渓が手に負えず、目と鼻の先にある尾根道まで
薮扱きしようとしたが、ハイマツ林に阻まれて敗退、残雪帯に戻る。
1ヶ月前の ”奥白根山”での滑落が頭を過ぎる斜面だった。
左手が分岐点からの尾根道、中央の窪地が避難小屋からの登山道、
小さな残雪に見えるが残雪以外はハイマツ帯で歩けない。
遠くは南アルプスの山容が見えていた。 山座同定の信憑性は薄い。
雲一つ無い異常な程の好天気で ”御嶽山”までもはっきり見えた。
この天気なら会社を休んだ価値は充分にある。
”駒峰ヒュッテ”は営業小屋であるが、まだオープンしていなかった。
ヒュッテの左側にあるテラスからの展望は抜群であった。
10時45分、体力を使い果たして
5時間35分にて ”駒峰”ヒュッテに着く。
駒峰ヒュッテから見た ”空木岳”の山頂。
山頂までの最後の登りはきつかった。
”駒峰ヒュッテ”から山頂までは100m程の距離、一揆に登りたいところであるが足が動かず途中、3回も休憩をしてしまう。 11時間9分、
6時間丁度で ”空木岳”(2、864m)山頂に立つことが出来た。 山頂からは360°の大展望で月並みだが ” 来て良かった!” のつぶやきが出てしまう。 ヒュッテを見ると1人登ってくるハイカーが見えたので昼飯を食べながらその人の登頂を待つ。
尾根筋の先、宝剣岳、木曽駒方面を見る。(右上が欠けている失敗パノラマ写真)
大分県から来られた百名山スーパーおじいちゃん、
しばし話しをするがそのタフさ加減には呆れた。
金峰山の ”五丈岩”によく似た ”駒石”。
周辺には奇岩、巨石が多く見られた。
  11時33分、30分程休憩して下山する。 尾根側の道は巨石、奇岩が多く、展望も良いため、避難小屋側の道が
無駄だった様に思えるが、残雪さえなければ両方通るべきと思う。 駒石の下で大分から来た御老人と話しする。
今回の山行きはここで7山目で昨日は瑞牆、金峰を一日で登り12時間掛かったらしいが俺と1時間しか変わらない。
明日は木曽駒ヶ岳に行くらしい。 百名山を行っているとすごい人によく会うが、この人もスーパーおじいちゃんだ。
下山時の尾根道より振り返り見た ”駒石”と ”空木岳”山頂、下るのが名残惜しい。
下山後は駒ヶ根定番の ”こまくさの湯 ”(500円) に入る。
露天風呂からは ”宝剣岳”が望めた。
ボロボロの体を引きずって3時間30分で駐車場に帰り着き、全工程10時間丁度で空木山を終える。
登り:6時間00分(避難小屋を経由)
下り:3時間30分
(駒石を経由)
コースタイム:10時間00分
(休息時間含む)
うつぎだけ
日本百名山』 中央アルプスの中央に君臨する名峰。
  昨年から空木岳日帰りに行きたいと思い続け、5月から天気図とにらめっこしていたが、やっと気圧配置が良くなり急遽、会社を休んで行くことにした。
体力には自信がないので6時間歩いても山頂に着かない場合は勇気ある撤退とすることで登り始めた。
  登り始めの体調の悪さはいつものことで30分も過ぎればと思っていたが、何時間経っても体調は悪いままで、雪渓(残雪)に迷い込んでからは
もう、山登りは止めよう ” と思うほど調子が悪くなってきた。
空木岳下山後はどこに行こうかを考えて、甲斐駒ケ岳、千丈ヶ岳に登ろうと
広河原に移動するが、夜叉神トンネル手前で通行止めとなっていた。横には
鳳凰山への登山口があるが、鳳凰山へは今日の空木岳より遥かに長い行程となるので日帰りで登れるとは思えない。 他の道への移動も考えたが、取り合えず今日はここで寝て明日考えることにした。
2004年度の山歩き
  06/04      06/05
  空木岳 → 鳳凰三山
Road Map :中央道を駒ヶ根ICで下りて、池山林道の終点駐車場まで走る。
Route Map:駐車場登山口から大地獄を経由して山頂を往復する。
気温13℃、風が強く岩陰に隠れないと寒い。 その人も最後の100mを休憩しながら登ってくるので中々到着しない。 静岡から来たと言うその人にシャッターを押して貰い、しばし、山談義に花を咲かす。
何時かは ”木曽駒ヶ岳”から ”空木岳”までを縦走をしてみたい
との思いがあったが、その思いは歳を取ると共に消えてしまった。
2023年12月18日改定